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前略の結びは草々が基本。使い方を例文を含めて解説します

前略について解説します。このページを読めば、前略の結び方や例文、草々と組み合わせた使い方などが理解できます

前略と草々

前略とは

前略は手紙で使う場合、「冒頭の挨拶(時候の挨拶や安否うかがい)を省略する」という事を表す言葉です。

前と略の2つの言葉に分けて解説すると
  • 前:通常冒頭に書く挨拶の事
  • 略:省略の事
を意味しています。

通常手紙の書き出しと前略を使う場合の違いを表にします。

頭語時候の挨拶安否確認~主文
拝啓早春の候益々ご健勝のことと存じます。さて過日は…
前略 過日は…

前略を使う場合は続けて時候の挨拶などを書く必要はないので、すぐに本文へ入ることが出来ます。

前略草々

前略の結びには通常、草々が使われます。草々は結語とよばれる手紙の締め言葉の一種で、必ず前略などの頭語と組み合わせて使います。

草々には「冒頭の挨拶を省略したことを詫びる意味」があります。本来は「あわただしい様」を表す言葉です。御草々でした、という謝罪の表現もあります。

結びに草々を使うことで、手紙が挨拶を省略するようなあわただしい文章になってしまった事を謝るという関係性になっています。

なお草々にはバリエーションがいくつかあります。

  • 草々は別の漢字で匆匆もしくは匆々とも書く
  • 草々と早々は別
  • 草々と同じ意味で草々不一という表現もある

一部は意味を後述します。

前略かしこ

前略とかしこの組み合わせは、主に女性が使います

前略は男女問わず使う言葉ですが、かしこが女性しか使わない表現になっています。男性の場合は前略は草々と合わせるのが基本になります。

また他に女性が使う表現として、
  • 前略ごめんください
  • 前文お許し下さい
  • 前略にて失礼いたします
という言葉もあり、どれも結びの言葉はかしこ(漢字では畏)になります。

前略の結び

前略は他にも様々な言葉(結語)で結ぶことが出来ます。いずれも共通するのは急いで書いた文面であることを詫びている意味の言葉であるところです。

結びに使える言葉の一覧です。
  • 草々、草草、匆々、匆匆:粗略であること
  • 早々:いそいでいること
  • 不一:不完全であること
  • 不尽:礼を尽くせていないこと
  • 草々不一、草草不一:走り書きで思いを尽くしていないこと
  • 不備
  • かしこ
結びに使えない言葉の一覧です。
  • 敬具
  • 敬白
  • 謹白
  • 拝具

前略の結びに敬具は使わない

前略と敬具の組み合わせは使いません。

他にも詫びるニュアンスのない言葉である敬白、謹白などの言葉も組み合わせることはありません。これらの言葉は拝啓とあわせて使います。

結びなしは可能?

結びなしは失礼にあたります。前略は挨拶を省き簡略化しているので、最後に失礼を謝罪するのがセットになります。

前略に続ける言葉

前略の次に本題に入りますが、本題の切り出し方にはいくつかの定型パターンがあります。

  • 承りますれば:聞くところによるとの意味
  • 早速ですが
  • 突然ですが
  • 走り書きにて失礼します
  • 略書にて失礼します
  • 取り急ぎ申し上げます

前略を用いた例文

様々なシーンや書き方に応じた例文は以下の通りです。

横書きでの例文

例文

前略

早速ですが先日、信州は安曇野に紅葉を観に旅に行ってきました。おいしいワサビを手に入れたのでクール宅急便で送ります。是非ご賞味ください。

かしこ

草々とあわせた例文

例文

前略

この度は急な入院中に大変親切に接していただきありがとうございます。おかげさまでとてもきれいな風景写真を撮ることが出来ました。

春先にまとまった休みが取れそうなので、久しぶりにオペラの観劇でもご一緒にいかがですか。

草々

ビジネスでの例文

前略は基本的にビジネスでは用いません。急いでいる場合は、代わりに急啓と敬具等の組み合わせを使います。

例文

急啓

先日は急な要望にも関わらず、快くご協力いただき誠にありがとうございます。

早速ですが、ご提出頂いた書類に1枚不備があり同封にて返送致します。つきましてはご確認のうえ、ご返送くださいますようお願い申し上げます。

書面送付のご連絡にて、失礼いたします。

敬具

例外的にビジネスで極めて親しい人間に個人的に送る場合の例文を紹介します。

例文

前略

先日の勉強会では大変お世話になりました。

私が転職してからも問題なく業務がはかどっているようで安心しました。同時にさみしい気もしますが。今後も情報交換をかねて、是非定期的に会を開催しましょう。

草々

お礼状での例文

前略は挨拶を省略するカジュアルな表現になります。何か贈答品を受け取った時に相手に感謝の気持ちを表すお礼状で、前略を使う事は基本的にありません。

お礼状以外にも前略を使うべきではないケースがありますので、後述します。

前略と拝啓の違い

前略は冒頭の挨拶の省略ですが、拝啓は挨拶の書き出しです。どちらも同じく手紙等の冒頭に書きますが、全く違う役割と意味を持っています。

  • 前略:続けて本題に入る。カジュアルな内容の際に用いる頭語
  • 拝啓:続けて冒頭の挨拶に入る。比較的改まった内容の際に用いる頭語

結語も全く異なるものになります。拝啓を草々と結ぶことはありませんが、急啓(目上の人間に急いで送る手紙の頭語)の場合は結びが草々になります。詳しくは拝啓の項目をご覧ください。

前略と結語の位置

手紙で前略草々を書く順番は以下の通りです。

  1. 前略
  2. 本文
  3. 末文
  4. 草々
  5. 後付け(日付、差出人名、宛名、追記等)
前略の位置

具体的な位置は画像で確認してください。

使える文書と失礼になる文書

前略は万能ではなく、使える文書が限られます。内容や相手によっては使うことが出来ません。

前略が失礼になるケース

  • 目上の人間や親しくない相手:上司や恩師など
  • 改まった内容:お悔やみの手紙、お礼状、詫び状
  • 書き出しが決まっている文書:年賀状・暑中・残暑見舞いなど

失礼にならない様に、拝啓敬具などを使うようにします。

拝啓敬具で文書をつくりますか?

お礼状お礼状を作る。お歳暮やお中元など。

前略を使えるケース

  • 相手は身内や親しい友人など
  • カジュアルな内容

親しい相手でも改まった内容の場合は前略は使いません。急ぎの場合でも緊迫した内容の場合は急啓などの表現があります。

前略と同じ意味の言葉

前略と同じように冒頭を略する時に使う別の言葉を紹介します。

  • 冠省:手紙の先頭=挨拶を省くという意味
  • 略啓:省略して申し上げるという意味
  • 寸啓:簡単に申し上げるという意味
  • 急啓:急いで申し上げるという意味

全て挨拶を省略する際に使う言葉で前略と同じ様に草々、不一、不備などの言葉で締めます。

前略と同じように冒頭を略する時に使う別の言葉を紹介します。

  • 冠省:手紙の先頭=挨拶を省くという意味
  • 略啓:省略して申し上げるという意味
  • 寸啓:簡単に申し上げるという意味
  • 急啓:急いで申し上げるという意味

横書きと縦書き

書き方を縦書きと横書きに分けて紹介します。位置については前項の画像で確認してください。

横書き

  • 前略は左端、先頭に書く
  • 草々は右端、文末に書く
  • 改行ありもなしも可能

前略は改行してもしなくてもどちらでも構いません。改行しない場合は句読点などを付けずに1文字分余白を取って書き出します。

草々などの結語も改行せず文末に続けてもマナー違反ではありませんが、基本的に改行して書きます。

縦書き

  • 前略は右端、先頭に書く
  • 草々は左端、文末に書く
  • 改行ありもなしも可能

横書き同様に前略草々ともに改行の有無はどちらでも構いません。ただ草々など結語は改行するのが一般的です。

なお結語を改行する場合は文の一番下の部分に揃えます。

前略への返信

前略草々で締められた手紙を受け取り返信を書く時に、自分も前略で書き始めても差し支えありません。

他に返信の意味を持つ「拝復」で書き始めるのも適しています。拝復の締めは敬具になります。

上記2つ以外の頭語を使う事も可能ですが、相手との関係性に応じて選択します。

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