書き方の解説とテンプレート

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企画書|書き方の解説とオリジナルのテンプレート。デザインのポイントは?

このページでは、企画書の書き方の解説、オリジナルのテンプレート、デザインのポイントの説明などを用意しています。このページを読めば、分かりやすい企画書を作るのに必要な知識、テンプレート(パワーポイントやキーノート対応)を得ることが出来ます

企画書とは

企画書

企画書は、事業において新しい企画やプロジェクトを開始するために、理解・共有するべきあらゆることを説明する文書です。データ分析や市場調査、企画者の洞察やアイデアなどをもとに入念な準備を経て作成し、決裁権者・意思決定者を説得するために使われます。

企画書を高いレベルで作成するためには、分析力、企画力、プロジェクト管理、構成力、デザインなど多岐にわたる総合的な知識やノウハウが必要になります。

企画書の書き方

企画書は次のような項目に沿って書いていきましょう。

  1. 現状の問題点の明示
  2. 解決策となる企画、提案
  3. 成果、メリット(ハード面、ソフト面)
  4. 目標、成功の基準
  5. 具体的な手順、アプローチ
  6. 予算、スケジュール
  7. 企画を採用しない場合のリスク
  8. その他(候補スポンサーなど)
  9. 結論
  10. 参考資料

企画書の内容によって必要に応じて書く項目を選択していきます。それぞれの項目について具体的な書き方を解説していきます。

現状の問題・課題の書き方

まず初めに提案する企画の背景となっている、現状の問題・課題を明らかにします。企画によってどのような問題を解決し、利益をもたらすことが出来るのかを相手に説明するところから企画書を始めます。

問題・課題はいくつかのカテゴリに分かれます。

  • 製品・サービスの問題:(例)製品やサービスに対する顧客満足度が低い
  • 競合他社の問題:(例)競合他社が同価格かつ品質の高い製品を出している
  • 取引先の問題:(例)取引先の変更が業績改善に役立つ
  • コストの問題:(例)システムの属人化で、大量の人件費が発生している
  • インフラの問題:(例)設備が経年劣化を起こしている
  • サステナビリティの問題:(例)使用済商品の回収・リサイクルが進まない

上の様に具体的な問題や課題を書き出したら、続いて更に問題を深堀りしていきます。

  • 問題の根本的な原因は?
  • 現状を放置することで起きる事態は?(人的・金銭的なロス、機会損失、評判の低下など)

まず現状の問題の根本的な原因を特定しましょう。提案する企画は根本的な原因を解決するものである必要があります。

更に現状を放置したままだと何が起きてしまうのかを企画の提案相手に説明して、解決の必要性を理解してもらいましょう。

書き方の例
  • 「問題・課題」

    顧客アンケートを実施した結果、サービスに満足していないとの声が多く聞かれた

  • 「原因」

    従業員のサービス向上研修を廃止したことが1つの要因と考えられる

  • 「対策しない場合」

    更なる満足度の低下が原因となり、顧客離れが進む可能性がある

企画の主旨の書き方

企画の主旨を書きます。次のようなポイントをおさえながら書きましょう。

  • 主観、推測ではなく事実に基づいて書く
  • 企画がどのように現状の問題点を解決するかを説明
  • 想定される質問や反論に対する説明を用意

頑張って練り上げた企画だからといって力が入って、主観的になりすぎては説得力を損ないます。「○○と思う」という書き方を可能な限り排して、事実に基づいて書きます。具体的には企画を裏打ちする根拠や数字などのデータを示しながら書きます。

提案する企画を実行することで、現状の問題点をどのような形で、適切に解決できるのかを書きます。当然提案に対して反対意見が出てくることが考えられます。あらかじめ提案が様々な反論より優れている点を説明する準備をしておきます。

メリットの書き方

企画を行うことでもたらされるメリットを書きます。具体的にはハード面とソフト面に分けて書きだすと良いでしょう。

  • ハード面:利益、収益
  • ソフト面:顧客満足度や顧客体験の向上、PR効果、リスクの軽減

ハード面は金銭的な利益、メリットを指します。売上、内部収益率、収益などの見積もりを書きましょう。客観的な信ぴょう性を持たせるために、見積り予想は最良のケースだけではなく、悪い場合の数値も併せて書きます。デメリットをあえて晒すことは、信頼感を増すテクニックの1つになります。

一方でソフト面は直感的、感情的なメリットです。顧客の満足度や認知度の上昇、事業のリスクの軽減、PR効果などを指します。ソフト面のメリットはすぐに収益にはつながりませんが、時間の経過と共に収益の増加をもたらす可能性があるものです。

目標、成功の基準の書き方

企画の目標、成功の基準を決めて書きます。目標の設定には、SMARTの法則を使いましょう。SMARTの法則とは、適切な目標を設定するために、次の5つのポイントをおさえる方法です。

  • 具体的かどうか(Specific)
  • 測定できるか(Measurable)
  • 達成できるかどうか(Achievable)
  • 現実的かどうか(Reality)
  • 期限はいつか(Timebound)

まずどの程度の成果を達成し、そして成果をどのように測定するか(定量的KPIなど)を説明しましょう。もちろん目標は現実的に達成できるもので、かつ現実的なものである必要があります。そして全ての企画には時間の期限があることも忘れてはいけません。いつからいつまで実施する企画なのかを書きましょう。

以上の5つのポイントをおさえることで目標や成功の基準はより明確になります。

手順やアプローチの書き方

どういったアプローチで問題を解決していくのか、具体的に書きましょう。

  • 担当者、責任者:プロジェクトリーダー(PL)、プロジェクトマネージャー(PM)、その他各部門の責任者を誰が務めるかなど
  • チーム編成:行程ごとの担当部署の割り振りや、必要であればプロジェクトチームを組むなど
  • 必要な人材:社内、派遣、士業、アドバイザーやコンサルタントなど
  • 手順の管理の方法:PMBOK、進捗管理など

企画のリーダーやマネージャーは誰が務めるのかなど責任者を明確にしましょう。一人で完結できる企画ではないなら、企画の実行に必要になる人材、人数、他部署との協力などを示しましょう。

また手順を管理する手段として「立ち上げ―計画―実行-監視-終結」から成るPMBOKのフローを導入するなど、適切に企画を実行する準備があることをアピールしましょう。

予算とスケジュールの書き方

企画を進めるうえで必要になる予算を項目ごとに書きましょう。

  • 設備、消耗品の費用
  • 人件費
  • その他の費用

可能な限り正確に予算の見積もりを行って書き出しましょう。企画を成功させるうえで資源は非常に重要な要素になります。金銭面の他にも、人的、物理的に必要になるものを書きます。もし調達先や調達方法まで明らかな場合はあわせて提案しましょう。

次に、スケジュール管理は、企画の目標達成とワンセットになっています。予算やその他の資源の管理や運用も含めてどのようなスケジュールで進めるのか予定を適切に組み立てましょう。

不採用の場合のデメリットやリスクの書き方

企画を却下した場合に起こりうる、デメリットやリスク、最悪のシナリオを書きましょう。人には損失を回避したいと思う習性があります。プロスペクト理論(損失回避性)と言います。危機感は積極的な対策を取るための大きな動機づけになるのです。

例えば次のような2つの表現を見てみましょう。

書き方の例
  • 「普通の表現」

    本企画を採用することで、社内コミュニケーションが円滑になります

  • 「リスクを強調する表現」

    本企画を採用しない場合、社内のコミュニケーションに影響が起こります

自分の提案と、却下した場合に起こりうる最悪の事態と並べて対比することで、提案した企画が数段良く見える効果をもたらします。

参考資料

書く際に実際に参考にした資料や、相手の理解の補助になるような資料があれば添付しましょう。

企画書のテンプレート

オリジナルの企画書テンプレート

オリジナルの企画書テンプレートを提供しています。ダウンロードは下のリンクからどうぞ。

テンプレートはパワーポイントを利用して作成しており、キーノートとも互換性があります。

企画書を書く時のポイント

企画書を書く時に、注意あるいは用意すべきポイントは次のようになります。

  • 提案相手の知識や理解度を把握する
  • データ、図表、グラフなどの根拠を用意する
  • 相手に対する心理的な効果を意識
  • 提案が組織の目標と一致しているか確認する

提案相手の知識や理解度を把握して書く

提案相手に応じて、企画書の書き方が大きく変わってきます。特に企画を提案する相手の知識の量は重要なポイントになってきます。

  • 知識が多い相手→専門的で詳しい解説
  • 知識が少ない相手→基本的で分かりやすい解説

もし提案相手が企画に関連する専門家であれば、専門用語を用いて説明することは効果的かつ無駄な説明を省くことも出来て効率的です。詳しい解説をすることが効果的になります。

もし提案相手の知識が不足している場合、専門用語は使わずなるべく簡単な言葉で説明しなくてはなりません。あるいは企画書以外に別途資料や参考文献を用意することを検討しましょう。

データ、図表、グラフなどの根拠を用意する

企画の内容がいかに独創的で、興味深く、示唆に富むものであっても、根拠が乏しい企画は通りません。

企画の成功を裏打ちする数字や調査結果、図表やグラフなどを用いて、データドリブンな提案をすることで、理解をうながすことが出来ます。また過去の成功した企画、失敗した企画をどちらも調査して、比較の対象にすることも出来ます。

  • データ分析ソフトを使う(Tableau、SPSS、STATAなど)
  • パワーポイント等を使って図表を配置

データの収集や分析は自身で出来る範囲には限りがあるため、必要に応じてソフトや統計資料なども利用して補強しましょう。

またパワーポイントやキーノートなどを用いて、見やすい画面構成で図表などを配置していきます。デザインの項目もご覧ください。

相手に対する心理的な効果を意識

提案する相手を説得する企画書を作るためには、心理的な効果も意識するとよいでしょう。

  • ストーリーテリング:単に数字やデータの羅列ではなく、ストーリーを意識して感性に訴える
  • 両面提示:メリットだけではなくデメリットも示すことで信頼性をあげる
  • 対比効果:悪い例をしめすことで提案の優位性を浮き上がらせる
  • 性格分析:説得する相手の性格を分析する。4つのソーシャルタイプ(楽天家タイプ、経営者タイプ、研究者タイプ、共感者タイプ)などを利用

例えばあえておとり(囮)となるような質の低いアイデアを並べて書くことで、本命の企画を良く見せる手法を用いたりします。他にも提案相手の性格を社会的な4つのタイプに分類して特徴をつかんだうえで、説得を変えたりすることも1つの方法です。

最終的には、企画書は提案相手の感情や直感的な判断にゆだねられます。つまり提案は必ずしも数字やデータ、理屈だけに基づいて承認されるとは限りません。だから企画書はより直観に訴えかけるような、心理的な効果を狙った書き方も意識することが必要になるのです。

提案が組織の目標と一致しているか確認する

いかに優れた企画であっても、根本的に組織・企業の掲げている大きい目標と反する提案は受け入れられません。

例えば、持続可能な社会の実現に取り組む中で、大量の燃料消費を前提とするような提案は、いかに利益の大きい提案でも却下されてしまいます。

企画書のデザイン

デザインのポイントは多岐にわたりますが、特に重要なものを挙げます。

  • 色:色は3色以内にまとめる
  • 文字:文字の大きさは階層ごとに揃える
  • 写真や図:写真や図、イラストをバランスよく挿入する
  • 画面構成:端を揃える

使う色は白黒を除いて、多くてもメインカラー、サブカラー、アクセントカラーの3色以内にします。2色でも構いません。

メインカラーを中心にして、サブカラーはメインカラーと同じ色合いから選択します。アクセントカラーにはメインカラーとは、異なる色を持ってきます。補色関係にある色味から選ぶことも1つの手段になっています。色を使いすぎると、色同士のバランスを取るのが困難になるため気を付けましょう。

文字の大きさは自由気ままに変えずに、同じ階層ごとに統一します。見出しにしても、詳細解説にしても、同じ意味階層のものは、どのページでも同じ大きさの文字を使います。

文字や図表、写真などあらゆるものの端や頭を揃えます。例えば文字の先頭と、下に掲載した写真の端が揃わずにガタガタだと、見にくいだけではなく制作者の注意力の無さが見えて提案のマイナスになります。

却下される企画や提案の特徴

次のような企画書は却下されてしまいます。

  • 内容が不十分:企画書で内容が十分に説明できていないと、本来良い内容の提案であっても却下されてしまいます
  • メリットが不明:組織にとって明確なメリットがない提案は実行する意味自体が乏しくなります
  • 効果の低い提案:効果が限定的な企画よりも、出来る限り大きい効果が期待できる企画を提案しましょう

せっかく作った企画書が却下されることは避けたいものです。

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